妊娠分娩は現在でも女性にとって危険な仕事です。世界中では、毎年40万人の母体死亡が報告されています。
日本国内でも毎年約50名の妊産婦死亡が起こっております。しかし約70年前(1950年)までは、毎年4000人以上の妊産婦死亡があっていたのですから、かなり安全になったとも言えます。
最初から怖い話で恐縮ですが、妊娠分娩をなめてはいけませんよと言いたいのです。
まずは、より安全な分娩を目指しましょう。その第1歩は、ちゃんと妊婦検診を受けることです。
妊婦検診を受ける利点は、検診によって妊娠の異常を早く発見してもらうことと、主治医を確保することだと思います。産婦人科の主治医は、自分の患者さんの異常に対しては、時間外や深夜、休日をとわず、出来るだけの対応をしてくれると思います。
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妊娠初期に超音波検査によって子宮内の正常妊娠であるか、胎児は元気かどうか確認すると同時に、胎児の大きさより分娩予定日の決定がなされます。
この分娩予定日の決定は非常に大切です。妊娠後期に早産しかけた時、あるいは予定日を超過した時、この予定日がいかに正確かが問題になります。
分娩予定日を正確に決定するには、妊娠9週頃診察する必要があります。時々妊娠4〜8ケ月頃初診で来られる妊婦さんがおられますが、これでは正確な予定日は決定できません。
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血液型 :ABO型、Rh(D)型
検血一般 :赤血球、白血球、血小板
Hbs抗原 :B型肝炎ウイルス
HCV抗体 :C型肝炎ウイルス
HIV検査 :エイズウイルス
RPR定性 :梅毒の検査
不規則抗体検査:赤血球に対する抗体
血糖検査 :糖尿病のチェック
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平成21年4月より、妊婦検診の補助が大幅に増加されました。そのため、多くの感染症の検査が無料で出来るようになりました。
梅毒反応 :先天梅毒児が生まれる可能性があります。妊娠初期に発見し治療すれば、胎児に影響しません。
B型肝炎ウイルス:B型肝炎は、肝硬変→肝癌と変化することがある疾患です。出生直後、新生児にグロブリンを注射することで、新生児への感染が防げます。
C型肝炎ウイルス:C型肝炎も、肝硬変→肝癌と変化することがある疾患です。新生児への感染を減少させるように努力がなされております。
HIV:エイズウイルスの検査です。新生児へのウイルス移行防止が検討されています。
ATL:成人T細胞白血病ウイルスの検査です。長崎県に多い疾患です。主に母乳により母体から新生児にウイルスが移行します。
母乳保育を中止することで、新生児へのウイルス移行をかなり防ぐことができます。
風疹抗体:妊娠初期に感染したら胎児奇形を起こす可能性があります。
クラミジア:子宮の入口(頚管)にいることがある細菌です。分娩時に胎児に感染することがあり、新生児が肺炎になることがあります。
GBS:B群溶血性連鎖球菌の検査です。これが膣内にいる場合、時に分娩時に胎児に感染することがあります。新生児肺炎を起こすことがあり、
要注意の細菌です。
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妊娠初期〜妊娠23周 |
:4週間毎に検診 |
妊娠24周〜妊娠35周 |
:2週間毎に検診 |
妊娠36周〜妊娠39周 |
:1週間毎に検診 |
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尿蛋白、糖検査 : 腎疾患、糖尿病の検査
体重計測 : 太りすぎのチェック
血圧測定 : 妊娠高血圧症のチェック
腹囲、子宮底長計測: 胎児の発育予想
足部浮腫の有無 : 妊娠浮腫の早期発見
超音波検査 : 胎児、胎盤、羊水の異常発見
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当院も母乳育児に力を入れております。 (要予約)
- 第2、第4火曜日 午後1時 「母乳保育について」 野中祐子氏
- 母乳の素晴らしさと、母乳保育のための注意事項を、桶谷式乳房管理法認定者で、こすもす母乳育児相談室室長である野中氏(助産師) に話していただきます。
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妊娠糖尿病の検査
十数年前から、妊娠中に糖尿病と同様な状態になる人がいることが発見されました。血糖の異常を起こす人は全妊婦さんの3%と言われます。
血糖が高くなると、胎児の巨大化、未熟化、胎児仮死などいろいろな問題が起こります。妊娠中にチェックし、コントロールする必要があります。
ブドウ糖50g入りのジュースを飲んでいただき、1時間後に採血し判断しています。
グルコースチャレンジテスト(50gGCT)と言われます。
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- 検血一般
- 赤血球、白血球、血小板の検査です。貧血、血液凝固能のスクリーニング検査です。
- 不規則抗体スクリーニング検査
- 赤血球に対する変な抗体が無いかどうかのチェックです。分娩時、時に大出血がありますが、不規則抗体が無ければ輸血がすばやく出来ます。
- ATL検査
- 成人T細胞白血病を起こすウイルスの検査です。母乳保育か粉ミルク保育か判断材料になります。
- GBS検査
- 溶血性連鎖球菌の検査。陽性であれば、分娩直前に抗生剤で治療します。
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妊娠後期に胎児が突然死亡することがあります。
死亡する前から、胎動が少なくなることがあると言われており、それを応用して、胎児の元気さを妊婦さん本人に確認していただく自己検査です。
胎児がよく動いている時、胎動の数を数え、10回胎動があるまでの時間を計ります。通常30分以内であれば一応「胎児は元気だ。」といわれています。
・・・・・絶対ではありませんが。
多くの場合5分くらいですみます。
また30分以上かかったとしても、直接「胎児は危険だ」ということでもありません。次項のNST検査で最終判断します。
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胎児の元気さを確認する検査です。「胎児モニター」と言われた器械を使い、子宮の張りと胎児心拍数を同時に測定して、グラフに書いてゆきます。
これで、陣痛の状態と胎児の状態を判断します。
現在、胎児の状態把握には一番信頼できる検査と言われています。
ノンストレスとはストレスの無いということで、陣痛の無い時の胎児の検査という意味です。
当院では妊娠34週以降の検診時、毎回この検査をしております。
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